チャート分析の超基本「ダウ理論」を紹介します。超基本といってもとても奥が深く、僕は一番重要な理論だと考えています。
実際僕も一番使用頻度が高いです。
この後の記事で紹介する「トレンドラインと水平線」の根本になる考え方です。
分かりやすさを優先してかなり簡略に説明します。
ダウ理論の6つの基本原則
1.平均(平均株価)はすべての事象を織り込む
2.トレンドには短期・中期・長期の3種類がある
3.主要トレンドは先行期・追随期・利食い期の3段階からなる
4.平均は相互に確認されなければならない
5.トレンドは出来高でも確認されなければならない
6.トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
株、FXにおいて一番重要な原則は6番目です。4、5番目は株に対して重要です。
重要な項目だけ知りたい方は目次から飛んでいただいても結構です。
基本原則の説明
平均(平均株価)はすべての事象を織り込む
チャートには価格値の集合体で形成されています。相場は価格の上下を当てるだけのゲームです。
その価格は既に公開された経済状況や現時点での将来の経済状況への期待(ファンダメンタル要素)をすべて織り込んでいます。
つまり、現在までの相場のすべての情報の結論が現在価格であるということです。
トレンドには短期・中期・長期の3種類がある
・短期:数時間~1か月
・中期:10日間~3か月
・長期:1年未満~数年間
イメージしにくいと思いますので、下図にトレンドラインで例を示しています。

上図を見ると長期トレンドラインの中に複数の中期、短期トレンドが存在しています。
長期トレンドでは上昇ですが、その過程では上がったり下がってしています。
長期ホールドで数年気絶という戦法もありますが、スイングトレードは数日~数か月の時間軸です。
自分のトレードの時間軸によってロングが正しいかショートが正しいか変わります。
主要トレンドは先行期・追随期・利食い期の3段階からなる
・先行期
・追随期
・利食い期
いろいろな見方があるかと思いますが、あえてチャートに当てはめるとこんな感じでしょうか。下図に記載します。

利食い期には若干チャートが下り出し、最後は大きな上昇になって散っていますね。
最後の上げはイナゴトレーダーがまだ上がると信じて飛び乗ったのでしょうね。その前のジリ下げで利確しておきたいところですね。
強いトレンドは単発で終わらず継続性があります。先行期は難しくても、できれば追随期でエントリーしたいですね。
平均は相互に確認されなければならない
これは主に株に適用される原則です。相関性を持つ指標が同じ方向に走ることでトレンドに確信が持てるということです。
ダウが生きていた19世紀は輸送手段としての鉄道が盛んな時代でした。
工業製品を鉄道によって運ぶため、工業の活況が鉄道の活況に相関性がありました。
そのため、工業と鉄道株の平均がともに同一方向に動くことがトレンドであるということです。
経済的に連動性がある指標を見つけてそれぞれの方向性を観察していけば勝率アップに繋がっていきそうですね。
トレンドは出来高でも確認されなければならない
この原則も主に株に適用される原則です。というのはFXでは出来高を計測できないからです。
そのため、株を対象に説明します。下図はENEOSホールディングスの日足チャートです。

図中の黄色線で囲った箇所は相対的に出来高が高くなっている箇所です。
出来高が高くなっている部分はトレンドに対してキレイに推移していることが分かります。
出来高が高いということは多くの方々が判断をしているということになります。
そのため、出来高を伴った値動きは本質的な値動きである可能性が高くなります。
トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
これがダウ理論で一番重要かつ汎用性がある原則です。
なんだか当たり前のことを言っている気もしますが、非常に重要です。ダウ理論では上昇を上目線、下降を下目線と言います。下図に下目線での定義を示します。

下目線は上値と安値が両方とも反発ポイントで切り下がっている状態のことを言います。この図では緑線で示したポイントを上抜けしています。
これは直近の高値である「上値③」を突き抜けたことで下目線が終了したことを意味します。上目線の考え方はこの逆です。
次は応用編です。下図を見てください。

この図では「下目線 ⇒ 上目線 ⇒ 下目線 ⇒ 下目線の終了」と移り変わっています。
下目線終了②の価格は直近の黄色線の下目線の価格とほぼ同値であるので下目線終了となります。
ダウ理論ではトレンド継続は常に上値と下値の切り下げでなくてはなりません。
このように上目線と下目線が頻繁に切り替わる時は、青線で描いたように三角持ち合いの形になります。
ちなみに三角持ち合いは、明確にその形状を抜けた方に大きく動きやすい特徴があります。
また、その後はレンジの値動きになっています。ダウ理論の上目線、下目線の考え方を使うと、値動きを大きく3つに分けることができます。
そして、すべての値動きはこのどれかに当てはまります。
・トレンド:上値と安値の関係が一方向に続いている状態
・三角持ち合い:上目線と下目線が頻繁に切り替わる状態
・レンジ:同じ上値、同じ下値が続いて上目線とも下目線とも言えない状態
相場常に「三角持ち合い、もくはレンジ ⇒ トレンド ⇒ 三角持ち合い、もくはレンジ」を繰り返します。
そのため、レンジだからと言っていつまでも同じ取引を続けているといつかトレンドに巻き込まれます。
また、レンジや三角持ち合い期間が長いほど、大きなトレンドになりやすい特徴もあります。これを覚えておくだけでも危機管理として大きな意味があります。
まとめ
ダウ理論についてまとめてきました。FX、株にともに適用できて一番大事なのは6番目です。
株については4番目と5番目も大きな武器になります。
ダウ理論は100年以上前の理論ですが、いまだに現役です。それどころか次回紹介する「トレンドラインと平行線」はダウ理論が元になっています。
僕は難しくて使えませんが「エリオット波動」もダウ理論が基になっています。
どんな分野もそうですが、長く使われ良いとされている考え方こそ自分が最後にすがるものだと思います。
この記事がダウ理論を理解する一助になれば幸いです。
次は「トレンドラインと水平線」についての記事です。
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